大分県木造住宅等推進協議会のおおいた木の良さを生かした建築賞受賞作品一覧

おおいた木の良さを生かした建築賞2019年度受賞作品を掲載

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おおいた木の良さをいかした建築
  • 最優秀賞
  • -新築部門- 大きな屋根の小さなすまい
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設計趣旨

100坪の敷地にたった18坪の小さな平屋の住まいです。夫婦2人、子供1人の3人
暮らし。小さくても、地域の材料を使って、地元の職人に腕をふるって作ってもらった
大分県産の杉の木と土壁の伝統構法の家です。
木組みには金物を一切使わず、伝統的な大工の技術による仕口と継手を駆使して組み上
げた丸太の太鼓梁は、住まう人の心に響くものがあります。夏は深い軒が暑い日射を
遮り、土壁の調湿効果と自然の風を室内に採り込むことで涼を、冬は薪ストーブと土壁
の蓄熱性能を利用して暖を採ります。
すべては自然のエネルギーを利用して快適に暮らす知恵が、伝統的な日本の住まいには
あります。真に省エネの住まいとは、最新の機器に頼らず、自然の恵みを最大限に
活かした住まいと考えます。

作品データ

所在地 大分市
用 途 住宅
建築主 大内 崇
設計者杢のすまい設計室
和田 恵利子
施工者寺岡建築
寺岡 公正
延面積 57.24㎡

審査を通しての意見

「木の良さを生かした建築」という本賞の主旨をはじめとして、審査項目すべてについて高く評価のできる新築木造住宅でした。実にコンパクトでありながら、外部空間を取り込むことで、住まいに広がりを与えていますし、また、地元職人の伝統技術を活かしている設計に対し、各審査委員からも強く推された作品です。
敷地条件が、保育園とは隣接していながら周辺の住宅とはやや隔絶していますが、外部空間が育ち、時間とともにさらに周辺環境との調和が図られていくことを、大いに期待するものです。

  • 優秀賞
  • -新築部門- 岩尾整形外科病院
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設計趣旨

「林業のまち日田に、木造の病院をつくる」
病床を持った病院は、人への優しさが特に求められる建物です。民間整形外科病院の 建替えに際し、建築主は温かみと潤いのある木造の病院を強く希望されました。
木造病院の実施例はほとんどありませんが、近年の法改正や技術開発の成果も踏まえ、木造での建替えを目標としました。
既存病院の機能(60床の病床、MRI室、CT室、X線撮影室や手術室等)を納めつつ、階数は2階にとどめ、準防火地域の敷地に外壁耐火の準耐火建築物を考え、施工者との協働で実現をしました。
(集成材は使わず)大分県産材のスギ「製材」を組合せた柱、梁、および杉板仕上げ からなる「癒しのインテリア」をエントランスから各病室に至るまで設計しました。

作品データ

所在地 日田市
用 途 病院
建築主 医療法人豊堂
岩尾整形外科病院
設計者 株式会社上西建築都市
設計事務所、
ニッテイ建築設計、
KAP、総合設備計画
施工者 株式会社佐伯建設
延面積 2287.73㎡
写真 ジェイクス(佐藤二郎)

審査を通しての意見

市街地中心部の準防火地域に位置しながら、病床数60 床という規模の大きな高度医療施設である病院建築において、
木の良さを最大限に生かそうとした木造建築(正確には、平面混構造)を実現したことに対して、最優秀賞に値するのではないかという意見もだされました。中央部を鉄筋コンクリート造として安全性を確保したうえで、外内装の連続性を 配慮して構造的にも一体化して木材をそのまま使用(あらわしに)するなどの設計上の提案は、今後の県内における
大規模木造建築の可能性をひろげる示唆となる作品でしょう。

  • 優秀賞
  • -リフォーム部門- 森の米蔵
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設計趣旨

「豊後森機関庫」から久大線を挟んだ北側に建つ旧森南部米倉庫を、飲食店や多目的
ホールの機能を併せ持つ、玖珠郡初の障がい者雇用福祉施設として改修しました。
外観は当初の雰囲気を再現するように配慮し、既存建物の木造トラスや柱などの
構造体を再利用しつつ現行構造基準に適合する補強を行い、非構造部材である通気用
胴縁(杉丸太半割)を再利用することで、当時の古き良き雰囲気を大切に活かしながら日本財団と(社福)暁雲福祉会が「玖珠町地方創生プロジェクト」の一環として リノベーションを行ないました。
内部の広い空間は、木の良さを十分に感じることができ、演奏会や教育・福祉の研修
会場、婚活パーティーなど様々な用途を持ち、県内外から多くの視察を迎えています。
昭和初期から玖珠町と共に歩んできた米倉庫は、玖珠町の新しい観光スポットへと
生まれ変わり、地元住民の方はもとより、観光で訪れる多くの方々の憩いの場として
末永く愛される建築物として、玖珠町の新たな「ものがたり」を紡いでいきたいと
願っています。

作品データ

所在地 玖珠市
用 途 障がい者就労支援事業所
建築主 社会福祉法人暁雲福祉会
設計者 有限会社アトリエ間居
施工者 新成建設株式会社
延面積 165.62㎡

審査を通しての意見

地場産業の半ば象徴的な存在として80 年以上前から建ちつづける南部森米倉庫の建築的な価値を継承するため、
柱や屋根架構などの構造体を再利用しながら、修復したという技術力と熱意の高さにとどまるだけではなく、これを
障がい者就労支援に用途転用して再生していることや、背後に隣接するこちらも貴重な大分県の文化的遺産である
「豊後森機関車庫」の保存活用にも大きく寄与する計画として高く評価されたため、「優秀賞」を授与することとなりました。

  • 優秀賞
  • -内装木質化部門- 大分県立芸術文化短期大学付属図書館
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設計趣旨

県立芸術文化短期大学のキャンパス内で正門横に建つ図書館。
開放感のある全面ガラス張りのカーテンウォールと立体パズルのように組まれた
レシプロカル・トラス構造の天井に誰しもが目を引かれます。
その天井には、県産の杉・桧を使用し、館内に筋雲状木組み約680㎡、軒天に雲状
木組み約400㎡の合わせて1,000㎡以上の木組み天井となっており利用者に温もりと
落ち着きをあたえ、勉強や読書に没頭し、ついつい長居してしまうような空間となって
います。

作品データ

所在地 大分市
用 途 学校(図書館)
建築主 公立大学法人大分県立
芸術文化短期大学
設計者 デネフェス・
オンデザイン設計共同体
施工者 佐伯・柴田特定建設工事
共同企業体
延面積 1,036㎡

審査を通しての意見

従来の図書館は、書庫ないしは調べ物や試験勉強をするための、機能最優先の無機的な空間でしたが、近年では個性化が進んでいます。本作品もこれに呼応するように、木に包まれながら落ち着いて図書と向き合うことのできる空間が実現 しています。その理由は、繊細にデザインされた天井や軒天の木組みでしょう。キャンパスの賑わいが感じられるガラス・カーテンウォールの開放性も「木の良さ」を引き出しており、敷地の高低差も巧みに利用しながら、それらの実現のために鉄骨構造設計の高い技術が大きく寄与しています。

  • 入賞
  • -新築部門- 藤原の丘に建つ家
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設計趣旨

 国道沿いの閑静な住宅地に建つこの家は、一見すると平屋建てに見える。
2階の階高を下げる事と、低くした軒先を伸ばす事により建物の重心を低く見せている。外壁に焼杉板を張り、自然な風合いで地域に馴染んでいる。
また、内部は床に桧板を張り、杉板と薩摩火山灰の塗り壁で構成した壁が、調湿、吸臭効果を発揮、空調はパッシブソーラーを採用。全館が快適な住空間となっている。
田園風景と住宅が混在する藤原の丘に厳かに建っている。

作品データ

所在地 日出市
用 途 住宅
建築主 Purogler Joseph Anton
設計者 浅野住環境デザイン
施工者 株式会社浅野建設
延面積 178.13㎡

審査を通しての意見

高台に位置する眺望の広がる田園風景のなかに、デザインを主張しすぎるでもなく静かに佇む住宅で、焼き杉を用いた 外装がその大きな要因のひとつでしょう。内観は一転して杉白木と火山灰塗り壁の内装による吹き抜けとロフトによって構成された自然感の高い開放性があり、建築主のライフスタイル(この場合は、音楽や楽器ですが、それにとどまらない構成)が素直に反映されたと思われる空間です。いわゆるnLDK の標準形に頼らないプランニングが、木の良さとともに住まい方の自由度をあたえているのでしょう。

  • 入賞
  • -リフォーム部門- 真清水cafe
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設計趣旨

高浜虚子と若水の俳句交流の場を残しながら日出町で別世界のカフェ空間を造り上げる。施主の祖父が主管した『真清水会』の離れ。当時の建物や添景を効果的に残しながら真清水カフェへとコンバージョン。新たな命を吹き込み世代を超えて生まれ変わる。
旧地盤面をかさ上げし内部床面との高低差を下げると共に、家具を全て5cm低くすることで目線が庭に近づき、庭とカフェ空間を馴染ませている。
大きく開放された窓から見える四季の移ろいと共に、ゆっくりと時間が流れていく。
自分の時間を大切にし、人生を楽しみたい人々が、上質のサービスを求めて訪れる。

作品データ

所在地 日出市
用 途 飲食店
建築主 浅野 昌子
設計者 浅野住環境デザイン
施工者 株式会社浅野建設
延面積 120.24㎡

審査を通しての意見

日出町に古くからつづく商店街に立地する建築主先々代の「離れ」を、落ち着きのある飲食店にコンバージョンしたものですが、既存の住宅の躯体や提案などの特徴、いいかえれば「面影」を最大限に残しながら、接道面から一旦は敷地内に引き込んでアプローチさせる演出で、疲弊しつつある商店街に対して、再生に大きく貢献しています。また、自然環境を配慮した軒のデザインや、空調機を小屋裏に収めつつ床下空気層を用いた吹き出しで対応するパッシブな空調計画など、参考となるべき点が多く実現されています。

  • 入賞
  • -内装木質化部門- 柳井電機工業株式会社本社オフィス
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設計趣旨

約120名が働くオフィス空間の内装。部署や肩書を超え自然なコミュニケーションが誘発される新しいタイプのオフィスを求められました。
テーマは「風景としてのオフィス」。約1000㎡の無柱空間を自然の中や野原にいる
ような心地よい場所を目指しました。
災害発生時の業務継続性確保の観点から天井板無し・配管配線表しとした無機質な天井エリアに対し、デスク天板や領域を作るカウンター等には木材を多用し、柔らかで
温かみを感じさせる空間となっています。

作品データ

所在地 大分市
用 途 事務所
建築主 柳井電機工業株式会社
設計者 株式会社塩塚アトリエ
施工者 平倉建設株式会社
延面積 1,000㎡

審査を通しての意見

オフィスにおいて、これまでにランドスケーピング形式のデスクレイアウトという手法は示されてはいましたが、
これを120 名規模の一室空間で具現化されたことは特筆されます。本賞の主旨に則して述べると、デスク天板が特注の杉丸太端材の集成材で計画されていることや、「マウンテン」と呼ばれる木製工作物が受付カウンター脇に配置され、
内部が談話コーナーとなっているなどの提案性が盛り込まれており、「木の良さ」が執務環境を向上させる事例として、
高く評価されました。

  • 特別賞
  • -新築部門- もくあみの杜
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設計趣旨

建設地は由布院駅から金鱗湖を結ぶ散策路のストリートエンドに位置する。
当施設が金鱗湖を象徴するモニュメント(湯布院散策中継点の目印・標)となるように角材を組み合わせた「もくあみ」という木組みデザインを考えた。
「もくあみ」は伝統工芸である竹細工の「ござ目編み」をモチーフにしており、
木の繊細さにより木造の存在感が緑豊かな周辺環境に程よく馴染んでいる。施設全体は中庭を中心に店舗を配置し、すり鉢状に窪んだ中庭を大きく張り出した屋根が包みこむような形状。行き交う人々が自然と溜まりくつろぐことのできる場所としている。
屋内外共に県産材の杉・桧材を使い、構造材における集成材比率は5%以下。住宅規格の杉・桧製材を使用し、コスト低減を実現している。

作品データ

所在地 由布市
用 途 店舗・飲食店
建築主 九州林産株式会社
設計者 もりのわ設計室・
建築デザイン工房
kocochi空間設計共同体
施工者 株式会社竹内工務店
延面積 562.22㎡

審査を通しての意見

ロケーションを最大限に活かし、来訪者を優しく迎え入れることに熟慮したプランニング。周囲の景観との統一性を守りつつ、個性を追求した外観。商業建築に求められるテナント対応への柔軟性。一般的なサイズの杉・桧材を使用しつつも豊かな表情あふれる空間。日本有数の観光地である湯布院に訪れる多くの方たちに「木の可能性」を存分に印象付ける 林業県・大分の象徴となる作品であるといえるでしょう。

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